涼しくなってくると釣りが面白くなってきますよね!
秋から冬にかけて、魚達も冬支度がはじまります。
食べて食べて食べまくる!脂肪をしっかりつけて寒い冬を凌ごうとするのです。
だから、冬の魚は脂が乗っていて美味い!
そんなハイシーズンを逃してなるものかと躍起になっている人も多いと思いますので、今回は釣果アップの基本。
「潮の満ち引き」について説明していきたいと思います。
道具や小手先のテクニックより前に学ぶ自然のルール
釣り、特にルアーフィッシングを始めると、道具からキャスティングテクニック、ルアーの動かし方や調整方法まで、エサ釣りとは毛色の違う「必殺技」のような知識に出会っていくものと思います。
もちろん、ルアーフィッシングの醍醐味はそれらのテクニックにありますから、これに熱中して吸収していく事は決して悪い事ではありません。
ただ、忘れてはいけないのが自然相手の遊びをしている以上、釣果アップの最大の秘訣は、自然環境や魚の習性を知る所にあります。
これらをしっかり抑える事で、難しいリトリーブテクニックや、高級ルアーを使用しなくても魚を確実に手にする事が出来るのです。
釣りにおける「潮の満ち引き」について聞いた事はありますか?
「満潮の時は釣れる!」
「大潮がいい!」
等、潮の満ち引きと釣果アップについて耳にされる事もあると思うのですが、これに対し「なぜ?」と疑問に思う程度で、実践に取り入れてる方は意外にも少ないのではないかと思います。
そもそもなぜ潮の満ち引きが起きるのでしょうか?これは魚にどのような影響を与えているのでしょうか?
潮の満ち引きはなぜ起こる?
海を眺めているとまるで機械にプログラムされたかの如く潮位が変動していきます。
この潮位の変動を「潮汐(ちょうせき)」と呼びます。
潮汐が起きる原因は「月」の引力、すなわち月が地球を引っ張ろうとする力が海面に働き、海の水位を上げ下げしている事が原因なのです。
新鮮な生卵をお皿に落としてお箸で摘みあげてみると白身の縁は内側に移動しますね、摘みあげた卵を離すと縁は外側に向かって広がります。
これと同じ現象が「海」そのものに発生しているのです。
満潮、干潮のメカニズム
photo by 海の自然なるほど豆辞典
分かりやすい図を引用させて頂きましたので見てみましょう。
地球は自転している為、同じ場所でも時間によって月からの距離が変わります、つまり時間の経過と共に同じ場所であっても月から受ける引力の影響が変わってくるのです。
海水に加わる力の影響が一番大きな場所、つまり月にもっとも近い位置とその正反対にあたる一番遠い位置が満潮になっている場所なのです。
詳しく解説すると、
- 月からの引力を強く受ける時間
- 月からの引力が一番弱く、地球の自転による遠心力を一番強く受ける時間
上記の時間に海水が上昇する事で満潮が訪れるのです。
「大潮」「小潮」は月の満ち欠け(太陽)の位置で決まる
よく「大潮」、「小潮」といった言葉を聞きますよね。
これは潮の満潮時と干潮時の水位差の大きさ、すなわち満ち引きの大きさを表しています。
大きさの順番:大潮>中潮>若潮>長潮>小潮
大潮になるのは月と太陽が一直線に並んだ「満月」または「新月」の時です。
月の引力に対し、太陽の引力がプラスで加わる事により、潮の満ち引きが大きくなるのです。
この月と太陽の位置がずれていく、つまり月が欠けた状態になっていくと、海水に対する引力のかかり方が弱まっていく為、「小潮」に向かっていくのですね。
ちなみに月が「半月」の状態が「小潮」になります。
潮の満ち引きがベイトフィッシュの動きに影響を与えている
いかがだったでしょうか?月の引力によって潮の満ち引きが発生する事が解っていただけたかと思います。
それでは、この満ち引きが魚にどのような影響を与えているのでしょうか?
上げ潮、下げ潮、水の動きと魚の動きを知ろう
干潮から満潮へ向かって潮が上がっていく状態を「上げ潮」と呼び、海から川へ向かう水の流れが発生します。
逆に満潮から干潮へ向かって潮が引いていく状態を「下げ潮」と呼び、川から海へ向かう水の流れが発生するのです。
魚達は基本的にこの大きな水の動きに乗って移動を繰り返しているのです。
特に遊泳能力が低い小魚、すなわちベイトフィッシュと呼ばれる魚達はこの潮の動きに大きく影響を受ける傾向があります。
ベイトフィッシュは干潮時から満潮へ向かう「上げ潮」に乗り接岸してきます。
陸付近には身を隠すストラクチャー(障害物)が多い為、満潮の間はこれに身を隠しているわけですね。
しばらくすると潮は干潮へ向かい下げ潮に変わります。
徐々に水位が下がる事で、身を隠す場所が無くなってきます。
遊泳能力が低い小魚は強い下げ潮の流れに流されるように沖へ向かって遠ざかっていくのです。
そしてベイトフィッシュを追うフィッシュイーター
photo by 浜松ダイビングスクールFunSea
もうお分かりだと思いますが、シーバスに代表される海のフィッシュイーターはこの小魚を追って動きます。
フィッシュイーターを探すには「ベイトフィッシュを探せ」と良く言われますね。
そしてベイトフィッシュを探すには"潮を読む"事が一番の近道なのです。
大潮が一番魚が釣れるの?
基本的には大潮が一番魚の活性が高く、捕食行動をとりやすい為、釣れると言われています。
なぜ大潮は魚の活性が高くなるのでしょうか?
大潮では干満の差が大きい為、水の動きが大きく、すなわち流れが強くなります。
水の流れが強くなった分、多くの酸素やプランクトン等の栄養を運び込んでくる為、魚にとって活性が上がりやすい環境になるのです。
戦略を考えながら釣りをするとゲーム性が高くなり面白くなる!
photo by 鳴門渦潮観光
ベイトフィッシュが接岸していない状態で狙いのフィッシュイーターが釣れる事を「交通事故」と呼びます。(笑)
釣れて嬉しいのですが、運が良かったという結果なので、ゲームに勝ったという達成感は薄れてしまいます。
タイドグラフ(潮見表)を確認しながら、ベイトフィッシュがいつやってくるのかといった状況を確認しながら釣りをするとゲーム性がより一層高まり面白くなります。
結果が出た時、出なかった時、考察し一喜一憂出来る。
こんな釣りを無意識に出来るようになってくればもう上級者へ入口を潜ったといっても良いのではないでしょうか?
これから秋にかけ、青物、メッキゲーム、シーバスフィッシング。
フィッシュイーターを追うルアーフィッシングがどんどん面白くなってきます。
今年のハイシーズンはワンランク上の思考で釣りを楽しんでみて下さい。